冨澤美千子先生のご著書『野村芳兵衛の教育思想―往相・還相としての「生命信順」と「仲間作り」』(春風社)の出版を記念し、2021年12月18日(土)、Zoomにより冨澤先生に基調講演いただく出版記念シンポジウムを下記の通り開催いたします。ご関心をおもちの皆様のご参加をお待ちいたしております。
本出版記念シンポジウムを機に、野村芳兵衛の教育思想を現代の教育に生かし、新たな教育実践と教育学の地平を切り開いていくために、「野村芳兵衛研究会」を発足させたいと考えております。野村の誕生日(1896年3月26日)にちなみ、第1回野村芳兵衛研究会を、2022年3月26日(土)に、野村の郷里である岐阜で、対面とオンラインのハイブリッド方式で開催することを予定しております。また、研究会の機関誌『野村芳兵衛研究』を発刊し、年1回、刊行していきたいと思います。創刊号の投稿締め切りは2022年1月末、刊行は2月末の予定です。
●冨澤美千子『野村芳兵衛の教育思想―往相・還相としての「生命信順」と「仲間作り」』春風社、2021年
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●日時: 2021年12月18日(土)14:00–17:00
●参加費: 無料
●主催: 活動理論学会
●プログラム(敬称略)
《基調講演》
冨澤 美千子(横浜美術大学)「野村芳兵衛の教育思想―その可能性と現実性」
《コメント》
・畠山 大(岩手県立大学)
・髙橋 栄介(上越市立大町小学校)
・山住 勝広(関西大学)
本シンポジウムは、冨澤美千子『野村芳兵衛の教育思想―往相・還相としての「生命信順」と「仲間作り」』(春風社)の出版を記念し、「近代100年のあいだに、日本人が書いた教育論のなかから、…まずあげるべきは、かれのものであろう」(中内敏夫)と評される野村芳兵衛の教育思想を、私たちが現代において相続すべき共有財産として生き返らせ、現実の教育実践に生かしていく道を探ろうとするものである。
本書『野村芳兵衛の教育思想―往相・還相としての「生命信順」と「仲間作り」』は、野村教育思想の可能性の中心をとらえ、それを新たに開示して息吹かせる画期的な挑戦といえる労作である。本書が明らかにしているように、野村が夢見た「仲間作り」の教育は、一般的で抽象的な類概念によって、個人を埋没させ従属させるような同調的な集団主義教育と同じものではない。権力的・強制的な支配の教育からの解放と自他の同時救済を何よりも欣求した野村は、「生命信順」とコインの裏表の関係にある「仲間作り」によって、互いが互いの唯一無二の個別的な呼びかけを生命にとってかけがえのないものとして感受し、それに応答し合い、そこから自由で自主的な相互信頼と相互扶助の関係を築いていく具体的な教育実践を構想したのである。
それは、ユーリア・エンゲストロームが、拡張の三つの次元のうち、第3にあげている「政治的-倫理的次元」の拡張に多大な示唆を与えるものである。つまり、学習者の変革的エージェンシーの拡張の論理を、野村が構想する「仲間作り」の教育はパワフルに内に含みもつものとなっている。
本書と並び同時出版された冨澤美千子『子どもたちの創造力を育む総合的な学習の時間』(大学教育出版)では、野村芳兵衛の生活カリキュラム構想をエンゲストロームの拡張的学習構想と結びつけ、総合的な学習の時間の具体的な実践の新たな創造を「政治的-倫理的次元」の拡張の観点からとらえ直すことが試みられている。
●参加のお申し込みは、次の参加申し込みフォームからお願いいたします。折り返し、ZoomミーティングのID等をお知らせいたします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSegAdliynHoFCFoOZ52epRmSP3yAyhp7NeUjtEl5Mr2_zZqJA/viewform?usp=sf_link
●冨澤美千子『子どもたちの創造力を育む総合的な学習の時間』大学教育出版、2021年
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