今年度に開始となり今後5年間にわたり取り組んでいく研究プロジェクト、2022年度〜2026年度 科学研究費・基盤研究(A)「拡張する学校を創る―変革的エージェンシーの形成へ―」(研究代表者:山住勝広、課題番号:22H00084)では、その第1回の研究会を、一般公開の研究会として2022年8月7日(日)に対面+オンラインで下記の通り実施いたします。ご関心をおもちの皆様のご参加をお待ちいたしております。
●日時: 2022年8月7日(日)10:00–16:00
●参加費: 無料
●場所: 関西大学 梅田キャンパス 6階 601号室 対面とオンラインのいずれでも参加可
梅田キャンパスへのアクセスはこちらをご覧ください。
関西大学梅田キャンパス KANDAI Me RISE ホームページ
http://www.kansai-u.ac.jp/umeda/index.html
●主催: 2022年度〜2026年度 科学研究費・基盤研究(A)「拡張する学校を創る―変革的エージェンシーの形成へ―」
●プログラム(敬称略)
《研究発表》
10:00-10:50
・山住 勝広(関西大学)
「拡張する学校を創る校内研究」
本発表では、まず、ポスト資本主義の新たな学校教育の創造をめざして、文化・歴史的活動理論と拡張的学習理論の枠組みにもとづき、教師自身が子どもやパートナーとともに、使用価値と交換価値が対立・競合する学校学習の根本的な矛盾をブレークスルーし、学びの使用価値を再発見して、学校教育の転換を内側から協働して生み出していくような共有された学校のあり方を、「拡張する学校」と名づけて理論的にモデル化することについて検討したい。次に、そうした「拡張する学校」を学校現場において教師たち自身がイニシアティブを取って集団的にデザインし創造していくための校内研究の新しいあり方に関して、拡張的学習の生成と変革的エージェンシーの形成という観点から議論していきたい。
11:00-11:50
・根津 知佳子(日本女子大学)
「創造的音楽活動を軸とした授業づくりの可能性」
多様な個性をもつ生徒が通う特別支援学校高等部の授業づくりにおいて、最も難しいのが活動水準の設定である。前言語段階の生徒から就労可能な生徒たちまでからなるコミュニティにおいて、教師と生徒たちは、どのように教材や活動の本質を共有することができるのであろうか。2013年度から2016年度にわたる高等部の実践例からその可能性と課題を探りたい。
13:00-13:50
・冨澤 美千子(横浜美術大学)
「小学校のカリキュラムにおける『本を作る教育』の意義―『政治的・倫理的次元』の拡張の有効性に着目して」
東京・池袋児童の村小学校で訓導・主事を務めた野村芳兵衛(1896–1986)は、小学校のカリキュラムを、「読書科」と「生活科」という二つの大きな構成領域に分類した。「生活科」は、自己の直接経験を中心として、「子供達が、子供達自身で、自分達の生活を観て行くところの学科」であり、生活を観察し判断する学習であった。すなわち「本を作る教育」である。本発表は、その教育の拡張性について明らかにしたい。
14:00-14:50
・伊藤 大輔(秋田県立大学)
「『拡張する学校』の組織構造に関する一考察:統合コード型と収集コード型の理念型に基づいて」
バーンスティン(1996=2000)は、統合コードと収集コードに基づく2つの組織構造の理念型を提示し、それぞれの組織における教員組織の構成的特徴や分業の状態を整理している。これらの知見を踏まえ、校内研究において拡張的学習が生起するための要件を考察したい。
15:10-16:00
・山田 直之(関西大学)
「『教える-学ぶ』関係における形成的介入の歴史的特異性―介入主義の二つの原理に着目して」
「活動理論の歴史的遺産」である介入主義(interventionism)は、「教える¬-学ぶ」関係として把握されてきた教育活動の歴史において、最も倫理的にエージェンシーの移譲を実現する方法論とみなしうる。本報告では、介入主義に基づく形成的介入研究が要請される時代的背景を近代教育史に照らしてあとづけ、その媒介モデルの二つの原理、すなわちエージェンシー(agency)と混交性(hybridity)について検討する。これにより、形成的介入研究の歴史的特異性を明らかにする。
●参加のお申し込みは、対面参加もしくはオンライン参加の別を明記の上、関西大学・山住 kyamazum [a] kansai-u.ac.jp([a]を@に変えてください)までお願いいたします。